薬物依存症は糖尿病と同様、一度かかると完治することはないとされる。日々、自分と向き合いながら一歩一歩、“回復”への道を歩んでいくしかないのだ。また、薬物依存症は、「金持ちとインテリは回復しにくいのが定説」という。

「普通はお金を使い果たし、薬を買えなくなって『もうやめよう』となるわけですが、高収入の人はふんだんに手に入れられるから、歯止めが利かなくなってしまう。また社会的ステータスの高い人ほど、捕まったりして挫折を味わうと精神的に深いダメージを負い、立ち直りにくくなるようです」

「厳罰より支援を」
新たな試みがポルトガルで成果

「犯罪者として扱い、社会から排除すると、かえって乱用者が増えてしまう」――。こうした課題に対して、世界では薬物依存症への新しいアプローチ、「ハームリダクション」が広がりつつある。厳罰によってやめさせるのでなく、支援することで健康被害や危険をもたらす行動習慣を減らしていこうとする試みだ。大麻をビジネス化しようとするグリーンラッシュとは、真逆の目的を持つ取り組みといえる。

 たとえばポルトガルは2001年から、違法薬物の所持について逮捕や投獄などの処罰を行わなくなった。代わりに「薬物依存抑制委員会」へ出頭し、必要な治療を受けることなどを課している。この試みは功を奏し、結果的に薬物乱用者の増加に歯止めをかけることができた。オーストラリア、カナダなどでもハームリダクションが始まっている。

「信頼できる相手やコミュニティーがない」「自分を大切と思えない」。薬物依存症はそんな孤独感から陥る病気といわれる。人生常に順風満帆とはいかないし、日本の将来に対し、若者が抱く不安感は底知れない。危機と隣り合わせの人は周囲にもきっといるはずだ。

 グリーンラッシュは今や世界的に広がろうとしている。日本もいつ“開国”を迫られるかわからない。だからこそ「ダメ、ゼッタイ」で終わらせず、薬物依存症についてしっかり理解しておくべき時代といえるのではないだろうか。