あなたの会社で
「本能寺の変」を起こさないために

 ここで、戦国時代の主君と家臣の関係を、現代の会社組織に置き換えてみる。

 光秀と信長の間に起こったようなすれ違いが、自分と上司の間に起きたとしたらどうだろう。

 例えば、自分の担当業務のテリトリーに上司が口出しをしてきて、勝手に違う話を進めてしまったら。もしくは、自分の部下の処遇を勝手に決められたとしたら――。もちろん、面白くないだろう。

 それによって、慎重に進めてきた準備が台なしになったり、取引先への面目がつぶされたりしたら、相当恨めしく思うのではないだろうか。

 ましてや、他の社員がたくさんいる前で叱責されたりしようものなら、もしかすると殺意すら覚えるかもしれない。

 少なくとも、この上司の下ではやっていけないと、転職を考え始めるのではないだろうか。

 また、逆のケースも考えた方がいい。自分が上司として部下に同じようなことをしていないか、注意を払うべきだ。

 光秀が本能寺の変を起こしたように、ある日突然、優秀な部下が「辞めます」と言ってきてからでは、取り返しがつかない。

 すれ違いが起こったり、起こりそうになったりしたときには、関係修復を急ごう。第三者をはさんで誤解を解くなど、すれ違いを解消して信頼関係を維持する努力が重要だ。上司と部下が同じ方向を向いて仕事に取り組むことが、何よりも大切なのだ。

 冒頭で触れた日産のケースも、ゴーン氏と当時の幹部の信頼関係の破綻が大きな原因だったともいえよう。

 もっと早い段階で、統合などの戦略に関するすれ違いを解消する、あるいは不正があったのであればそれを正すといった取り組みをするべきだったのではないか。

 本書は、歴史書として楽しめるのはもちろん、信長を反面教師に、上司のリーダーシップ論として読むことも可能だ。

 大河ドラマを楽しみながら、本書でなぜ光秀が信長に叛意(はんい)を抱くに至ったかをしっかり研究し、自社の上司部下の関係を、チェックしてみてはいかがだろうか。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)

情報工場
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