「話す順番」からも
劣化具合がわかる

(4)話す順番
 グループのメンバー一人ひとりに発言してもらう場面も多い。世の中には、「時計回りで順に話してください」「名簿順に発言してください」というように、発言の順番を指図して、まずはグループの中で発言順を決めてもらうケースが多いが、私は決してそうしない。発言したい人から発言してもらう。たったそれだけでも、能動性が向上し、演習効果が高まるからだ。この方式で実施してもなお、隣から順に発言するグループが出てくる。そうしたグループのメンバーは、組織における金属疲労度が高いと私は捉える。

 たまたま、その席についただけ、偶然、その発言の順番になっただけなのに、そんな順番だけで、決めつけられてはたまらないという反応を示す人もいるが、繰り返し演習していくと、同じ傾向が見られることが多く、集計値が増えれば増えるほどデータの精度は高まる。事実、後ろに座る人は、お仲間と座る人が多く、発言するまでのインターバルは長く、話す順番は規則的になりがちなのだ。

 そして、この演習プログラムを繰り返し実施すること自体が、能動性を高め、モチベーションを上げ、経年劣化を防ぐ効果がある。身近なところから組織の金属疲労度を把握して、組織のメンバー一人ひとりにさらに磨きをかけておくことが必要だ。