「着席の仕方」で
その人の劣化具合がわかる!

 私はさまざまな企業や団体などの組織で、幹部やメンバー、毎回20人くらいに参加していただいて、リーダーシップスキルやビジネススキルの実践力を高めるための演習プログラムを実施している。

 その演習プログラムの冒頭15分程度で、参加者の言動から、組織の金属疲労度を数値化することができている。その方法は、以下の観点から、参加者の言動を見極めることだ。

(1)着席した座席
 演習プログラムを実施する際には必ず、参加者一人ひとりに、自分が座る席を選んでもらう。世の中には、「前から座ってください」と主催者が声を張り上げているケースもあるが、それは決してしない。座りたい席に座るという能動的な行動をしてもらうことで、演習効果を高めるためだ。同時に、前の席に座るか、後ろの席に座るかで、来場した時点でのその人の能動性が数値化できる。前の席に座る人は、劣化が始まっていないことが多い。

(2)テーブルに誰と座るか
 1グループ6人以内で1つのテーブルに座ってもらうが、誰と同じグループになるかも、参加者一人ひとりの判断に任せている。世の中には、別の所属や属性の人とグループになるように主催者が指図しているケースがあるが、私は決してそうしない。参加者本人が同じ所属や属性の人と同じグループになりたければそうさせるし、別の所属の人と同じグループになりたければそうさせる。本人の意思に任せた方が、演習効果が高まるからだ。しかし、別の所属や属性の人と同じグループになる人は、劣化速度が低いことがわかっている。

(3)発言するまでの時間
 私の演習プログラムでは、理屈や理論の解説をほとんど行わない。その代わり、演習だけでプログラムを構成しているが、進行にあたっても、私が説明して進めるのではなく、参加者に質問して答えてもらうという問答を繰り返して進めていく。私が質問して、参加者が答えるまでの時間が短い組織ほど、劣化速度が低い。