リンガーハット代表取締役社長佐々野諸延
Photo by Hiroyuki Oya

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回はリンガーハットの佐々野諸延社長を直撃。たった「10円」でも値下げと値上げでは全く違う結果になるという。その真意を聞いた。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

10円の値上げは大ダメージ
10円の値下げでは客数が変わらない

――外食で客を集める一番の秘訣はなんだと思いますか。

 間違いなく店のQSC(クオリティー・サービス・クレンリネス)でしょう。ベースは絶対ここだと思います。もちろん、味にばらつきのない商品を出して、お客さんに喜んでもらうことは外食業として大前提ですが。

――では、最も自慢できる商品は。

 やっぱりちゃんぽんです。商品の売上高の構成に占める割合が圧倒的に高い。魅力は何といっても価格ですね。努力に努力を重ねて、なんとか500円台を維持しています。

 加えて商品の品質の高さにも自信があります。国産野菜を100%使用しているだけでなく、麺増量も無料でできる。三拍子がそろっています。

 味は万人に受けるように、あっさりした塩味。全国どの地域の方が食べても違和感がない味に仕上がっています。

――そのちゃんぽんをはじめ、2018年8月に値上げしました。

 値上げ以降、ずっと客数を落とし、苦労しています。19年8月に手頃な価格の「リンガーランチ」を投入し、客数は何とか前年並みにはなってきました。今はディナーのてこ入れを議論しています。

 消費者心理としては、たとえ10円や20円でも、「値上げする企業は駄目だ」というイメージがある。値上げで客単価は2%程度しか上がらなかったのに、客数は4~5%落ち込んでしまいました。