近藤正樹Photo by Masato Kato

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載「外食王の野望」で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回は13カ月連続で既存店の売上高が伸び、絶好調の日本KFCホールディングスの近藤正樹代表取締役社長。近藤社長は、女優の高畑充希さんにCMで言わせた一言に「絶大な効果があった」と明かします。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)

ライバルはコンビニのチキン
持ち帰り比率が高いので消費増税は“追い風”

――市場環境をどう捉えていますか。

 わが社のビジネスは持ち帰り比率が70%超と非常に高い。幸いにも持ち帰りの消費税率は軽減税率によって8%と据え置きで、プラスに働いています。ただ、テークアウト比率が高いということは、競争相手がファストフード業態だけでなく、コンビニやスーパーも入ってくる。

 ですが、競争は前向きに捉えています。コンビニがあれだけ「チキン!チキン!」と連呼してくれるので、かえって消費者がわれわれの店に来る可能性が増えるのです。当店の需要を高めてくれるので、非常にありがたい。

 ただ、楽観視はしていません。高齢化が進み、家庭で料理をする比率も減っている。食事する回数そのものが減っているのが、日本社会の現状です。その一方で、外食業界は次々と参入があるので、競争は激化していくと考えます。

 大切なのは、おいしい物がいつでも手軽に、一人でも多人数でも食べられる時代に、いかにケンタッキーを選んでいただくかということです。