「曲がるKAGO」

山本昌作(やまもと・しょうさく)
HILLTOP株式会社代表取締役副社長
自動車メーカーの孫請だった油まみれの鉄工所を、「“白衣を着て働く工場”にする」と、多品種単品のアルミ加工メーカーに脱皮させる。鉄工所でありながら、「量産ものはやらない」「ルーティン作業はやらない」「職人はつくらない」という型破りな発想で改革を断行。毎日同じ部品を大量生産していた鉄工所は、今や、宇宙やロボット、医療やバイオの部品まで手がける「24時間無人加工の夢工場」へ変身。取引先は、2018年度末で世界中に3000社超になる見込。中には、東証一部上場のスーパーゼネコンから、ウォルト・ディズニー・カンパニー、NASA(アメリカ航空宇宙局)まで世界トップ企業も含まれる。鉄工所の平均利益率3~8%を大きく凌ぐ「利益率20%を超えるIT鉄工所」としてテレビなどにも取り上げられ、年間2000人超が見学に訪れる。生産性追求と監視・管理型の指導を徹底排除。「ものづくりの前に人づくり」「利益より人の成長を追いかける」「社員のモチベーションが上がる5%理論」を実践。入社半年の社員でもプログラムが組めるしくみや、新しいこと・面白いことにどんどんチャレンジできる風土で、やる気あふれる社員が続出。人間本来の「合理性」に根ざした経営で、全国から応募者が殺到中。「楽しくなければ仕事じゃない」がモットー。ロングセラーとなっている『ディズニー、NASAが認めた 遊ぶ鉄工所』が初の著書。
【HILLTOP株式会社HP】https://hilltop21.co.jp/

能作 これ以外に新社屋建設前に売上などが伸びた要因をあげれば、錫100%の商品です。誰もやってこなかった、曲がらないと思われていた金属を曲げて使う発想が受けたようです。世界初でしたから。

山本 僕もその発想が大好きですね。「曲がるKAGO」シリーズは、実際に持った人の感性で自由自在に最終形ができあがるのは、すごいですよね。

能作 ありがとうございます。
 商品特性の情報をどうお客様に伝えるか、というのはすごい大事というエピソードがあります。
「曲がるKAGO」シリーズのすでに折り曲げてある造成品は、当初、百貨店でも全然売れなかったんです。それは当然で、曲げていないのと曲げたものを置いておくと、お客さんは「別もの」だと思うわけです。
 ところが、直営店だと自分で曲げられる。社員がそれを実演すると、「え!」と驚いて「それいいわね」と買ってくださる。どうやって商品の特性をお客様に知っていただくかは、本当に大事なことです。

山本 でも、『踊る町工場』を読むと、さすがの能作さんでも、全然売れない卓上ベルの時代もあったわけですよね。

能作 はい。お恥ずかしながら。