◇脳に良い食事法「MIND」

 カフェインはあくまでブースターに使うとして、やはり集中力アップには正しい食事法が欠かせない。近年研究者の注目を集めているのは「地中海食」だ。野菜やフルーツ、魚介類、オリーブオイルなどをたっぷり食べ、ファストフードやインスタント食品を徹底的に避ける食事法である。体調の改善はもちろん、脳機能の改善にも効果が認められている。

 また本書では、脳にいい食事を続ける3つのルール「MIND」が紹介される。それは、(1)脳に良い食品を増やし、(2)脳に悪い食品を減らし、(3)カロリー制限をしないというものだ。脳に良い全粒穀物や葉物野菜、ナッツ類などを積極的に取り入れ、脳に悪いスナック類や揚げ物、ファストフードはできるだけ減らすようにする。臨床テストでは「MIND」実践後、約4~8週間で脳機能の改善が見られた。

 脳を変える食事習慣を身につけるには、「食事日記」が効果的だ。獣は抽象的な指示や長期的ゴールを苦手とするため、記録の回数が多いほど進捗状況が明確になり、継続しやすくなる。

◆獣をコントロールする目標設定の奥義
◇「報酬の予感」で獣を制する

 WHOの疾病分類に「ゲーム障害」が新設された。長時間にわたってゲームをプレイし続けた人々が突然死するという事故を受けてのことだ。死因は、ほとんど体を動かさなかったせいで固まった血液が心臓から肺動脈に詰まったことだったり、下半身がうっ血したりしたことだった。

 このような死に至るほどの「ヤバい集中力」はカジノにも共通している。きらびやかなネオンで注意をひいて派手な音楽と照明で気分を高揚させ、窓と時計を取り払って現実から隔離する。無料のアルコールで調教師の働きを狂わせ、たまに大当たりを出して希望を煽る。すべては獣が暴走してのめり込むために設計されているのだ。現代のゲームは、この中毒性を取り入れている。

 ゲームがここまで魅力的なものになったのは、クリエイターたちが「報酬をいかに提示するか?」を徹底的に研究したからだ。カジノも同様で、本当に大事なのは報酬そのものではない。「ニアミス演出」と「スピード感」である。「あともう少し」の積み重ねがカジノでの長時間滞在につながっていく。「報酬の予感」を制する者は、獣を制するのだ。