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社員を苦しめる社長の“思いつき”
「良いアイデア」とは何か

小宮コンサルタンツ代表
経営コンサルタントの大先輩・一倉定先生は、「アイデア社長は会社を潰す」という名言を残しています。社長であればいろいろとアイデアを思いつくでしょう。しかし、たくさんアイデアを出すことが、いいとは限りません。特にワンマン社長の場合、会議の場で部下が何も発言しない(実態はワンマン社長が聞く耳を持たないために誰も発言しなくなる)ため、会社を成長させることができるのは自分しかいないと思い込んでどんどんアイデアを披露しますが、それがビジネスにつながるのかは別問題です。
アイデアを思いつくこと自体は悪いことではありませんが、その段階では「思いつき」であり、仮説検証されたものではありません。実現可能性を考えていないアイデアを押し付けても、かえって社員の負担になるだけです。社長に思いつきを「実行せよ」と命じられれば、社員は実行するふりはするでしょうが、うまくいくはずがありません。
では、ビジネスにつながる「よいアイデア」とはどのようなものでしょうか。私の高校の先輩で、経営者でもある原幸一郎さんの例を紹介しましょう。実際の現場でのお客さまのニーズや不満をどんどんビジネス化し、大成功したのです。