中国の武漢で発生した新型コロナウイルスによる流行性の肺炎で、感染源と思われる場所の特定に時間はかからなかった。それは、ダウンタウンの生鮮市場の一群の店舗だった。そこでは、タケネズミ、ダチョウ、ワニの子、ハリネズミなど何十種類もの野生動物が生きたまま、あるいは殺処分した状態で売られていた。華南海鮮卸売市場と呼ばれるその市場には、フットボール場9個分の敷地に粗末なつくりの1000軒ほどの店が集まっている。この種の市場としては、中国中部で最大規模のもので、武漢の市民やレストランに主として海産物を提供している。大半の中国人が買い物に利用するような典型的な生鮮市場だ。他の多くのこうした市場と同様に、この市場でも、珍味、あるいは漢方薬の材料として野生動物が売られていた。こうした野生動物の売買は、約20年前に致死率の高いコロナウイルスが原因の重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行を引き起こしており、世界規模の新たな伝染病を引き起こす恐れがあると警告されていた。にもかかわらず、中国政府は、この古くからの取引を引き続き容認してきた。
新型ウイルスと野生動物の取引、中国で内省も
野生動物の食用禁止という市民からの異例の要求に直面
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