環境意識が高い欧州では、ECBがいち早く環境問題へのコミットを検討し始めた。それは中銀の仕事として妥当なのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中銀が環境問題にコミット
すべきという論調の広がり

 近年、中央銀行が気候変動などの環境問題にコミットすべきだという論調が、広がりを見せている。年明け1月21日、中銀の中銀と呼ばれる国際決済銀行(BIS)がその旨を指摘する報告書を公表したことは、象徴的な出来事であった。こうした流れのフロントランナーに立つ組織の1つが、欧州中央銀行(ECB)である。

 ECBは1月23日、今年初となる政策理事会を開催した。この会合でECBは、金融政策については従来通りの緩和路線を踏襲した一方で、同時に今後1年をかけて2020年代のECBの運営方針を検討する作業に入ることを決めた。現在2%とされている物価目標の是非に加えて、経済格差や気候変動への対策についても検討を行うという。

 近年、世界各地で天災が相次いでいるが、それは地球温暖化などいわゆる気候変動に伴う現象だと言われている。ECBのラガルド総裁は昨年11月の就任当初から、ECBの金融政策を運営するうえでの1つの指針として、こうした気候変動の要因を考慮に入れたいという旨を表明してきたが、その検討がいよいよスタートするわけだ。

 金融政策もまた環境問題に資することができるという立場を、BISやラガルド総裁などは表向きに掲げている。確かに気候変動への対応は急務であるが、とはいえそれが中銀の担うべき政策領域なのかという根本的な疑問は残る。ECB内でも、理事会メンバーであるバイトマン独連銀総裁などを中心に、批判的な意見が根強い。

中銀の役割は経済活動を
金融面から支えることでは?

 一般的に、中銀の責務は通貨と物価の安定の維持にある。それに金融秩序の安定が加わり、近年はその善し悪しは別として、財政の維持装置としての役割も付け足された。要するに、経済活動を金融面から支えているのが中銀という組織なわけだ。その中銀に、環境対策の担い手としての役割まで負わせることは本当に可能なのか。