韓国経済を
直撃する新型肺炎

 武漢が閉鎖され中国の経済活動が鈍化した結果、いくつかの国ではかなり深刻な事態が起きつつあるようだ。その一例に韓国がある。

 韓国経済の特徴は、輸出への依存度が高いことだ。韓国経済は最大の輸出先である中国の景気に左右されやすい。半面、内需は厚みを欠く。韓国の経済状況は世界経済の今後を見通す上で重要な視座の一つとなるだろう。

 中国での自動車部品などの生産が停止に追い込まれた結果、韓国の現代自動車は部品を調達できなくなり、韓国国内での生産を順次停止すると決めた。これは、同社にとってかなりの痛手だ。

 現代自動車では、労働争議の激化によって生産に支障が生じてきた。その中で、昨年、米国において現代自動車の新型SUVである“パリセード”などが人気を集め、業績は上向いた。現代自動車はそれを足掛かりに高級ブランドである“ジェネシス”で初めてのSUVを投入し、業績拡大につなげたい。生産の停止は業績悪化に直結する問題といえる。

 DRAMなどの輸出によって、近年の韓国経済を支えてきたサムスン電子やSKハイニックスの業績不安も高まりつつある。世界のITデバイスの組み立ては中国に集中し、中国は世界の半導体需要の約50%を占める。中国での生産活動の停滞に伴い、韓国の輸出の20%を占める半導体輸出にはブレーキがかかりやすい。

 また、半導体の製造工程は、一度止まると再稼働までに最低で数カ月を要するといわれる。万が一、感染の拡大からサムスン電子などが中国での生産ラインの一時停止などに追い込まれる場合、業績にはかなりの影響があるはずだ。

 サムスン電子の業績は、韓国経済を支える土台といえる。すでに文政権の経済運営の失敗から、若年層の雇用・所得環境は悪化している。新型肺炎の影響から世界的に小売りや物流、エアラインなどへの影響が顕在化しつつあることは、韓国の経済にさらなる下押し圧力がかかりやすくなっていることと言い換えてよいだろう。今後、企業業績の悪化懸念から海外投資家が韓国株を売却するなど、韓国経済の不安定感は高まりやすいとみられる。