商談中に荒れた唇から血が出てしまった――。そんな恥ずかしい唇トラブルを未然に防ぐために、リップクリームを常備しているビジネスパーソンは多い。しかし、リップクリーム選びやケア方法を誤ると、かえって唇の荒れが悪化する恐れがあるという。乾燥の季節を乗り越える正しいリップケアとは。(清談社 真島加代)

会話中に自然と目がいく“唇”
ケアの必要性とは

口唇炎になった唇
唇荒れが進行して口唇炎になった唇。『医薬品』と表記されたリップクリームでのケアが必要な状態。セルフケアでも治らない場合は病院へ 画像提供:ユースキン製薬株式会社

 乾燥が厳しい冬、唇のかさつきが気になっている男性も多いだろう。特にビジネスパーソンの場合、唇が荒れていると仕事相手への印象も悪くなる可能性がある。

「ビジネスパーソンにとって、見た目の清潔感は重要な要素です。会話中に動く唇は、顔の中でも相手の視線を集めやすい部位。かさついて割れた唇は、血色が悪く見えるので老け込んだ印象を周囲に与えます」

 そう話すのは、アオハルクリニック院長・小柳衣吏子氏だ。冬になると、唇荒れに悩む男性たちが小柳氏のもとを訪れるという。

「海外出張などで長時間飛行機に乗る予定がある男性は『唇が荒れるかもしれないから』という理由で来院しました。普段、肌のケアを行っていない男性でも、唇の乾燥や荒れは気になるようです。特に冬は外気の乾燥だけでなく、屋内と屋外の温度差と湿度差が激しくなるので、唇にも大きな負担がかかります。ケアをせずに放置すると、すぐに唇が荒れてしまいますよ」

こやなぎ・えりこ/アオハルクリニック院長、皮膚科、美容皮膚科の専門医として日々多くの患者と接している。1998年に順天堂大学医学部を卒業後、同大学病院勤務を経て、2011年にアオハルクリニック院長に就任

 そして、多くの人が「なめる・かむ・とじる」というNG行為を無意識に行い、唇荒れを悪化させている、と小柳氏は指摘する。

「唇をなめると、その瞬間は潤ったような気がしますが、唾液が蒸発するときにもともとあった水分も一緒に蒸発するので逆効果。さらに乾燥してしまいます。2つめの『かむ』は唇をかんで皮をむしり取る行為。言わずもがなですが、出血して唇が荒れます」

 最後の「とじる」は、口の中に唇を巻き込んで唾液で濡らしたり、唇の上下を強くこすり合わせたりする行為だ。唇に負担がかかり、乾燥と荒れを招くという。

「唇のひび割れやただれが悪化すると、出血を伴う『口唇炎』や『口角炎』などの炎症トラブルにつながります。また、肌質に合わないリップクリームが原因で唇荒れが悪化するケースもありますね。あまりに症状がひどい場合は、皮膚科医に相談しましょう」