債券は20年間にわたり、投資家に一種の無償の保険を与えてきた。往々にして短期的には株と逆の動きをする一方で、長期的には良好な利益を上げてきた。しかし、そうした債券の安定性に頼ってきた投資家は注意すべきだ。このウィン・ウィンの状態が終わりを迎えるかもしれないと考える理由がある。そのため、次のリセッション(景気後退)の際には、債券が以前ほど役に立たないかもしれない。マイナス金利導入国の現状を見てみよう。先月は新型コロナウイルスへの警戒感から、株価は一時急落した。国債価格は大半の国で想定通り上昇した(利回りは低下)。しかし、ドイツやスイスなどの国では上昇率がはるかに低かった。これはある程度、理にかなっている。理論上、マイナス利回りの範囲には限度があるはずだ。利回り上昇による将来の損失は変わらない一方で、利回りが低下(価格は上昇)した場合、利益は制限される。この将来的なリターンのゆがみは、債券の魅力を漸進的に薄れさせる。利回りが下限に近づくにつれ、不況時に株価下落を補うために得られる利益が制限されるためだ。