経済改革開放路線の下で市場主義を取り入れ急速に発展し、国民生活が豊かになったわけだが、一方で一党独裁体制の下で国民の自由は著しく制限されている。

 国民に対する監視体制は圧倒的に強化されただけでなく、共産党内でも、従来存在していた共産党中央政治局常務委員会の集団指導体制が空文化し、習近平総書記への権力の集中が進んでいるといわれる。

 権力の行き過ぎを是正し安定させる仕組みもなく、いわば一種の恐怖政治的な趣さえ呈している。あるいは習近平総書記に対して多くの人々が忖度している結果、そうなっているのかもしれない。

「本質的な変化」を期待
日本は協力強化を

 今後、中国はどうなっていくのだろうか。

 今回の新型ウイルス問題で、中国は改めて世界に対する影響の大きさを意識したと思われる。中国共産党が統治体制の欠陥を真摯に受け止め、ある程度の是正措置を講じていくことになるのだろうか。それとも湖北省トップの更迭で済ませ地方政府の誤りということにするのか。

 問題の根源は共産党一党独裁の欠陥という統治の基本に関わる問題だけに、党内での厳しい権力闘争を招来することになるのか。それとも習近平体制は揺るがず現状維持ということになるのか。

 今はまだ感染拡大が終焉せず、全体的な評価を行うわけにもいかないが、ただこれまでも、資本主義を取り入れ改革開放路線を追求するなど、時に現実に柔軟に対応してきた歴史もある。

 だから変化が期待できないわけではないが、一方でどれほど本質的な変化がもたらされるのかは見えない状況だ。

 変化が難しいものであるにせよ、日本を含む国際社会は中国の変化を期待して協力を強化していくべきだろう。

 食の安全や環境整備、感染症対策など、日本が進んでいる分野は数多い。現段階では習近平主席の日本訪問は予定どおりとして準備が進められるというが、訪日は日中協力にとっても大変、重要な機会になるだろう。

(日本総合研究所国際戦略研究所理事長 田中 均)