TWICEは韓国人5人、日本人3人、台湾人1人の9人で構成されている。韓国のエンターテインメント性にハイレベルな「かわいい」をプラスして、最初から日韓台(+中国)の国境を超えた市場を野心的に狙っている。

 AKBという枠が壊せず、中年層を中心とした年齢の高いファンに照準を合わせた日本のアイドル市場で、TWICEの登場はとくに日本の若者には新鮮に感じられたはずだ。TWICEは少女時代の後継でありながら、多国籍という新たな機軸を打ち出した。

 最初はTWICEの自国のメンバーを応援していても、徐々に他国メンバーにも関心が向くという意味で、日本人のファンにとっては「K-POPアイドルグループ」の入り口となり、K-POPアイドルの日本人ファンの裾野を広げる役割をした。

 中にはK-POPアイドルの歌やダンスのレベルの高さを知って、「韓国エンターテインメント」そのものに関心が向くようになり、わざわざ韓国にダンスを習いに行くような若者も出始め、日本の若者に「韓国人アイドルグループブーム」と呼ぶべき流れが形成されていく。「エンターテインメントの本場」として韓国を目指す若者は、今や少なくない。

 なお、秋元康がプロデュースに参加し、HKT48のメンバーである宮脇咲良(2011年以降)も参加しているK-POPアイドルグループIZ*ONE(「アイズワン」2018~2021年)も日本人3人と韓国人9人の混成である。

 秋元らしい巧みなプロデュースで人気を博しているが、明らかに日本市場を狙ったグループであり、K-POPの日本進出というより、秋元自身が脱AKBをはかろうとしたものではないだろうか。

応援から憧れへ
変わるアイドル像

 K-POPアイドルが人気を博すことで、アイドルに対するファンのスタイルも変わりつつある。

 従来、日本におけるアイドルは「応援する」対象であった。だが、今や多くの若者にとって、アイドルとは高いエンターテインメント性で楽しませてくれる「憧れ」の存在である。

 従来はテレビという限られた場でしかアイドルを目にできなかったが、ネットによって広くいろいろなアイドルを楽しむことができるようになった。若者の目が、テレビが提供する「中年向け」の未熟なアイドルではなく、高いエンターテインメント性をもつアイドルに向くのは当然だと言える。

 日本のアイドル市場がAKBに席巻されて、中高年が楽しめるように裾野が広がる一方で、嫌韓へのこだわりのない若者はK-POPアイドルを抵抗なく楽しんでいる。

 この世代間の分化が、高いエンターテインメント性をもつ全く新しいタイプの日本人のアイドルの出現をもたらすかもしれない。その可能性をPerfume(2000年以降)やきゃりーぱみゅぱみゅ(2011年以降)やBABYMETAL(2010年以降)に見る人もいるだろう。

 私自身は、松田聖子の遺産を継承した「例外的なアイドルグループ」が登場することを期待している。それは、秋元康が作り上げてきたものとは正反対の、たとえば、つんくがプロデュースした松浦亜弥(2000~13年)が持っていたような、日本のアイドルの伝統を凝縮したようなグループになるのかもしれない。