ロシアのようなならず者国家が、海外で混乱を引き起こす際には、代理役に実行を任せ責任を否定することが多い。しかし、昨年夏のドイツでの暗殺事件をロシアの連邦保安局(FSB)が計画、実行した証拠が今週明らかになったように、時には化けの皮がはがれることもある。ドイツ当局は昨年8月、亡命を申請していたチェチェン独立を求める活動家をベルリンで殺害したとして、ロシア国籍の男を逮捕した。独立系調査報道サイト「ベリングキャット」は17日、携帯電話のメタデータ(データの属性や関連情報のデータ)に基づいて「この2019年のロシア国外での暗殺は、ロシアの主要治安当局が計画し、準備し、実行したものだった」とする報告を公表した。さらに同報告によれば「FSBとロシア警察は、逮捕された暗殺者が本当は誰であるのか知っていながら、ドイツ当局に虚偽の情報を伝えることを選択した」という。メタデータはまた、FSBの施設で長期間過ごしていたこの暗殺者が、かつてスペツナズと呼ばれるロシア特殊工作部隊に所属していたとしているが、その指摘には説得力がある。