予防は水分を摂ることと
暴飲暴食を避けること

 体験談はここまでにして、医学的な解説をしていきましょう。

 尿管結石は、腎臓から尿が出てくる通り道に、腎臓でできた結石が詰まるため、痛みが生じる疾患です。尿の通り道は尿管といわれ、結石は腎臓から膀胱まで3箇所狭い所があるので、1個の結石で3回まで発作が起こる可能性があります。

 結石が尿管にすっぽりと詰まると、尿管の上流に尿がたまり、尿管が急に押し広げられます。そのときに、発作的に痛みが起こります。直径1cm以下の小さい結石は自然に排出されることが多いのですが、1cmを超える大きな結石は、泌尿器科で処置を受けなければ排出されません。大きな結石は激痛というよりは、鈍痛になるようです。

 尿管結石の予防は、まず、適度に水分を摂ることを心がけることです。目安としては1日2リットル以上でしょう。尿が酸性だと結石ができやすくなります。尿酸値が高くなりすぎないようにしましょう。筆者が初めての発作に教われた夜、水を飲まないようにして寝ていたことは大きな間違いだったということです。

 人間ドックでは、尿PHという数値が検査で分かります。この尿PHを6.2以上にするようにしましょう。また、暴飲暴食を避けることです。尿酸値が高くなる主な原因になります。

 しかし、尿管結石になってしまったら、どうすれば良いのか。残念ながら、これと言って有効な対処法はありません。ただ1つ、私から言えるのは、意識が朦朧とするので交通事故や転倒に気をつけるということです。泌尿器科にたどり着けば、麻酔系の薬を注射してくれることが多いです。それまでは、ただ、ひたすら痛みに耐える、ということくらいしかできることはありません。

“結石慣れ”すると
水腎症になる場合も

 尿管結石について、知り合いの泌尿器科の医師と話をしていると、興味深いことを教えてくれました。尿管結石の患者さんは、発作を繰り返すたびに痛みが少なくなるのだそうです。結石がすっぽりと尿管につまり、尿管が膨らむときに痙攣になって痛むのですが、おそらく、繰り返すうちに尿管の痙攣に慣れてしまい、発作的痛みが起こらなくなるのではないかということだそうです。経験者からすれば、あの痛みに慣れるなんていうことがあるのかと思ってしまいます。

 実は、尿管結石の患者さんは内科にもいらっしゃいます。そのなかに、何度も発作を繰り返している患者さんもいらっしゃって、エコーで見てほしいと依頼されます。尿管結石慣れしているので、尿管が太くなっていることが多く、とてもエコー画面は見やすい状態になっています。たまに、はっきりと結石まで見えてしまいます。

 注意しなければならないのは、結石が長期にわたり尿管にあると、腎臓まで尿がいっぱいになってしまい、水腎症という状態になります。水腎症を放置すると、腎機能に障害が出てしまいます。ある患者さんの場合、水腎症がなくなっていると、「先生、うまく石が出ましたね!」と喜んでいました。

 尿管結石の経験は、筆者にとって重要な転機になりました。患者さんの苦しみを身をもって体験できました。あの“石”は、私にとって宝物だったのです。