この結論に違和感を覚える向きもあるだろう。週末のショッピングモールは、駐車場に車を停めるのも大変なほど賑わっていることもあるからだ。だが実は、賑わっているのは一部の店舗だけだ。業界全体を見渡すと、すでに多くの施設が苦戦を強いられている。

 大型商業施設が支持されてきたのは「品揃えのよさ」ゆえであった。だが、Amazonや楽天などといったECサイトであらかたのものを入手できるようになった今、「品揃えのよさ」はメリットになり得ないのだ。

◇自分で商品を選ばなくなる

 消費者は、たくさんの商品の中からモノを選ぶことを面倒だと感じつつある。といっても最終的にはどれかを選ばなくてはいけないので、何らかの判断基準が必要だ。

 過去には、その判断基準として、テレビCMや新聞広告などといったマス広告が役立っていた。しかし昨今、その基準が揺らぎつつある。特に若い人は、「AI」と「口コミ」に信頼を寄せるようになっているのだ。

 ネットで買い物をするときに、「あなたにおすすめの商品」が表示されることがある。これはAIが、検索履歴や購買履歴などを参照して、数多の商品の中から、おすすめの商品を提示しているわけだ。消費者はこのレコメンドのおかげで、膨大なラインナップの中から商品を選ぶ必要がなく、機械が勝手に選んできたものの「可否を判断する」だけでよくなっている。

「選ぶことをやめた人たち」はまた、自分の知り合いやネットで活躍するインフルエンサーの口コミにも信頼を寄せている。テレビCMに演出効果があることは、すでに多くの消費者が認知している。だから信頼する友人やインフルエンサーから勧められたほうが、購買に結びつきやすいのだ。こうした購買方法は、「自分の感覚だけで選んで失敗したくない」「選ぶ時間がもったいない」「みんながいいと言っているものが欲しい」などといったニーズも満たしてくれている。

◇世の中のあらゆる物が「サブスク化」される

 近年、「サブスクリプション(サブスク)」がさまざまな業界で採用され始めている。このビジネスモデルも、「買い物プロセスの省略」から生まれたサービスといえるだろう。

 サブスクリプションとは、商品やサービスを定額で一定期間使用できるビジネスモデルのことをいう。日本では、音楽配信サービスのサブスクリプションが一般消費者に受け入れられたことから、他の分野でも広がっていった。