「うまくやる」人の伝え方や魅せ方、ほんの少しの違い何かにはじめて取り組むときは、緊張してうまくいかないことが多い。しかし、4つのステップを踏むことで、結果を残しやすくなる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

レビュー

 世の中には、うまくやれる人とうまくやれない人がいる。後者の人は、大人になるほどに、その「うまくいかない」壁を痛感しているだろう。頑張っているはずなのに、認めてもらえない。やがて、「どうせ……」とあきらめモードへ。どうしてうまくいかないのか。それは努力が足りないからでも、じぶんが悪いわけでもない。ただ、「うまくいかない」ことに対するアプローチに問題があるだけなのだ。

『うまくやる』書影『うまくやる』 熊野森人著 あさ出版刊 1400円+税

 こうした壁を軽やかに乗り越える方法を、人気クリエイティブディレクターの著者が提案してくれるのが本書『うまくやる』だ。そのベースには、著者が培ってきたブランディングや広告制作、コミュニケーションデザインがある。「ブランディングなんて自分とは縁遠いもの」と思うのはもったいない。じぶんを知り、魅せ方や、伝え方、発信の方法を無理なく変えていく。すると相手の受け取り方がガラリと変わり、おのずと結果がついてくる。

 本書の魅力の1つは、40代男性のカーさん、20代女性のネコさん、そして著者が登場する対話形式になっている点だ。これは、読者が共感し、理解しやすいようにとった手法であり、コミュニケーションデザインの一種だという。この対話にほっこりさせられる。同時に、コミュニケーションでは、相手がどう感じているかを知ることがいかに大切なのかを実感することだろう。読後には、「うまくやる」秘訣が腑に落ち、じぶんの人生をデザインしやすくなるだろう。(中山寒稀)