シリア政府の攻撃を逃れて移動している大量の難民は、隣国トルコへの入国を阻まれ、混み合う収容所でゴミや予備の服を燃やして寒さをしのいでいる。過去9年続くシリア内戦で最大規模となる難民流出は、救援隊員が対応できる限度を超えている。地政学危機の震源となり、世界に波及しかねない脅威となっている。国境に押し寄せたシリア人の一部は、強行突破する構えを見せている。難民の移動を支援する活動家は「イドリブからベルリンへ」とスローガンを掲げた。人道危機が深まる中、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領への圧力は高まっている。トルコ軍はシリアで劣勢に立たされ、先週にはイドリブ県の空爆で兵士34人が死亡した。トルコ政府はこの空爆について、シリアのバッシャール・アサド大統領率いる軍の責任だと非難している。1日にはトルコ軍がシリア戦闘機2機を撃墜。シリア空域の覇権を巡り、ロシアに対抗する姿勢を示した。トルコ国防相はイドリブでの軍事活動について、シリア市民の「虐殺」を防ぎ、アサド政権の勢力拡大を後退させる狙いだと述べた。