ウェブサイトを活用し
住民をつなぐ仕掛けを

理事長セミナーでは「震災対応マニュアル」の作成と活用方法の説明のほか、防災コンサルタントの講義なども行われている

 マンションには多種多様な生活を送る人が集って住む。価値観も生活時間帯も異なる多くの人を、どうやってつないでいくか。この難問解決に向けたツールが稼働している。

 マンション専用サイト「くらしスクエア」を運営するのは、ライオンズマンションを全国展開する大京グループの大京アステージ。マンション管理の専門会社だ。「くらしスクエア」は、マンション専用のホームページのようなもの。管理組合の活動報告や、居住者同士の交流、生活に役立つ情報といったコンテンツが用意されている。
中でも注目されるのが「震災対応マニュアル」の活用だ。東日本大震災時、被災マンション復旧支援に携わった大京グループ社員らの知見を要約したもので、そのウェブ版が「くらしスクエア」内に収められている。

 各マンションの利用者は、震災対応に向けた基礎知識はもちろん、そのマンション独自の避難経路や連絡網をつくるための書式やマニュアルを自由に使える。これさえあれば簡単に防災体制を整えられ、全員で情報共有できるのだ。

 とはいえ、こうした仕組みを「使うか、使わないか」は各マンションの組合が決めることであり、そのためには「こんなサービスがあります」と情報周知させることが先決となる。同社では理事会に赴いて話し合いに参加したり、理事長セミナーで作成・活用方法を説明したりするなどで整備を急いでいる。

 利用は首都圏から中京、関西へと徐々に広がっているが、今はまだ、使いこなすまでには至っていない。

 各マンションの管理組合が、活動を報告するコンテンツが「組合活動」だ。
「理事会の議事録をPDF化してアップロードしている方もいれば、『家族でイベントに参加しました!』『町内会と合同でイベントを行いました』と、個人のブログのようにラフな感じで書き込む方もいるなど、さまざまです。フェイスブックの『いいね!』ボタンのような機能を付けてほしいという意見もあり、改修を重ねて、より使いやすくしていきたいと考えています」(大京アステージ・中村忍氏)

 このコンテンツの運営は各マンション管理組合に任される。そのため現在は、興味深い内容があっても他のマンションの人は見られない。「ところが、あるマンションの活動を情報誌向けに取材して、その内容をウェブ上にも公開したら、結構アクセス数が多くて驚きました。他の組合がどういった活動をしているか、関心が高いようです」(中村氏)

 ウェブ活用のメリットは、誰でも知りたい情報をすぐに得られる点。例えばマンション内でお祭りを企画するなら、「祭」「100戸以上」で検索して参考事例を拾う、といったことも考えられる。

 その一方で、情報公開には「個人情報の扱い」というハードルもある。現在は公開範囲が自マンションのみであることから、住民の顔が見えるようにと、あえて匿名性を高くしていない。この辺は、さじ加減が難しいところだ。同社は、いずれ追加メニューとして公開範囲を設定できるようにしたいという。

「ご意見をお寄せいただきながらシステムに手を加えると同時に、コンテンツの中身を充実させるべく、月に何千件と新たな情報を登録しているところです。正直に言ってすごく大変なのですが、さまざまに使って更新していただけているのを見るとうれしくて、それが社員の原動力になっています」(中村氏)

「くらしスクエア」の現在までの申し込み数は準備中も含めると約3000件、利用可能世帯数は15万~16万。登録数は毎月伸びているという。