国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査」によると、年収2000万円を超える人は1年間を通して働いた人のわずか約0.6%(累年比較)しかいません。このように少数しかいない高所得者であっても、お金を貯められない人はいらっしゃいます。
前回ご紹介した大企業にお勤めの方もそうでしたが、収入が多ければ支出も大きくなる傾向があり、その大きくなってしまった支出を抑える方法が分からず、ズルズルと使い続けてしまう人が少なくありません。
その結果、老後を目前にして貯金がないことに気が付いて慌てる。でも、生活水準やその規模を縮小することは「不便」だし、「そこまでしなくても」と思っている。こうした方は、少しの家計改善も難しく、いつまで老後破綻せずに暮らしが保てるのか、客観的に見ても心配になります。
勤務医一家なのに貯金250万円
息子3人は全員医師になる予定だが…
先日ご相談に来られた専業主婦のTさん(51)のご家庭も、収入が多いのにお金が貯められない典型的なケースでした。夫(55)は勤務医で、アルバイト収入なども含めると手取り月収は150万円ほどになります。それなのに現在の貯蓄は約250万円しかありません。住宅ローンも完済済みで、収入はすべて生活費と蓄えに使えるはずですが、ほとんどたまっていないのです。
毎月の支出額を見ると、約130万円に上っています。多くの方は、どうしてこんなにお金を使えるのだろうと思われるでしょう。いわゆる「メタボ家計である」のは間違いありません。そしてそのほかに子育て、教育にまつわる支出やローン返済が多く、家計を圧迫していました。
Tさんのお子さんは、医学部を卒業し医師として働き始めた長男(26)と大学浪人中の20歳の次男、私立高校に通う三男(高3)の3人です。子どもたちは全員医師にすると決めており、長男は浪人して医学部へ。次男も現在2浪中ですが、医学部を目指して予備校に通っています。次に失敗してもまた浪人をさせて医学部を受験させるとTさんは話します。三男も今、医学部への現役合格を目指し、必死に勉強中。毎日のように塾に通わせています。そして、生活時間が合わないからと、3人の息子には食費を含めて多めの小遣いを渡しているそうです。