イラン当局は国内の新型コロナウイルス感染流行の発生源として、イスラム教シーア派の聖地コムを挙げている。コムには多くの神学校や聖廟(せいびょう)のみならず、中国が後ろ盾となったインフラ建設プロジェクトも複数ある。こうしたプロジェクトには中国から来た多くの労働者や技術者が関わっていた。コムを中心として築いた中国との深い関係は、イラン経済が米国の制裁に直面する中でも生き永らえる救いとなった。それが今では、新型コロナウイルス問題で試練にさらされている。ウイルス感染の正確な経路は分かっていない。だが、中国との戦略的な提携関係によって、イランで新型コロナの感染が広がる接触機会は無数に発生した。英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)の中東担当副所長、サナム・バキル氏は「中国は頼れる最後の貿易相手だった。だが今回は、それが非常に有毒な爆弾に変わった」と指摘する。
イランのウイルス禍、根底に中国との戦略的提携
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