米国で新型コロナウイルス感染者が増え続ける中、一部の市民は不安に駆り立てられ、店舗閉鎖といった緊急事態への備えをしている。洗剤や缶詰食品を備蓄するほか、手元に余分な現金を置くべきかどうか思案する人もいる。米連邦準備制度理事会(FRB)の2019年の調査によると、少額の買い物には依然として現金が広く使われている。10ドル未満では支払いの半分近くを占め、25ドル未満では42%を占める。ただ、現金に関してはウイルスへの警戒心がもろ刃の剣となる。お金自体がウイルスの感染源になるかもしれないと危惧する人がいるからだ。専門家によるとそうした懸念は理解できるが、行き過ぎだという。キャッシュレス取引が多い現状にもかかわらず、危機に際して実体のある現金を増やしたいと願うのは、状況をコントロールしている感覚を一部の人に与えるからではないか。お金にまつわる心理学を研究するハーバード大学ビジネススクールのシェル・サンタナ教授はこう話す。