就活生だけでなく
1、2年生の利用も多い
学生からすれば、キャリアセンター主催の交流会などより、カフェの自然な雰囲気の中で、少人数でリラックスした形でコミュニケーションがとれる交流会は魅力的だ。昨今問題が起きているSNSなどでのOB・OGマッチングとは異なり、大学の延長のような安全な空間の中で参加できるのも心強いだろう。
企業側にとってもメリットがある。「この日は必修のゼミなので、違う時間帯の方がよい」などという学生側の提案で、より学生が集まりやすい時間帯の交流会の開催が可能になるからだ。
エンリッションの柿本祐輔代表取締役は「就活生、1、2年生いずれにも、カフェで社会人と交流できる機会を提供し、企業には従来型の採用支援ではなく、年間を通して直接学生と会い、企業認知や理解を促進できるサービスを提供している」と自負する。
そうした方針もあり、今では1、2年生の割合が5割超にまで上がっている。神戸大学前店のスタッフ、神戸大学国際人間科学部3年の西脇ひよりさんは「自分が1年生だった頃は、企業は即採用につながるような交流会を主催したいという意向に見えた。だが最近は、一般的な広いテーマで開催してほしいとの要望に応えて、1、2年生向けの『自己分析』といったテーマの交流会も増えてきている」と変化を語る。
スポンサー企業である日本航空のある担当者は「より早期に次世代の顧客となる学生とのエンゲージメント強化が重要だった。将来の顧客としての利用、将来の就職先という二つの観点でのリアルな接点づくりに極めて有用だと考えている」と話す。
JALグループのさまざまな事業側面にリアルに触れてもらうため、パイロットや旅行部門、サービス部門、カード部門などで独自の交流会を実施してきたという。
近くに知るカフェがない大学生は利用しづらいのが難点だが、ネットとSNSが発達した時代だからこそ、安全で小規模、限定的なリアルの場での企業交流会は、就職活動の一形態、一チャネルとして今後も広がっていくだろう。