生活の拠点を地方に移す「地方移住」がライフスタイルのひとつとして定着している昨今。本格的に移住を始める前に、その土地での生活を体験できる“お試し移住”を提案する自治体が増えている。お試し移住の特徴や地方移住の最新事情について聞いた。(清談社 真島加代)

東日本大震災後に
移住希望者が若年化

盛岡市の「さんさ踊り」
「お試し移住」にトライして盛岡市のさんさ踊りに参加する移住希望者・ウッチーさん。その後、実際に移住を決めた

 かつての“地方移住”は、リタイア後の中高年が生活の拠点を地方に移すというイメージが強かった。しかし近年は“老後の夢”だけとは限らないという。

「当初の地方移住は、定年退職者が老後のセカンドライフをのんびり過ごすために都市部から過疎地域へ移住する、という流れが一般的でした。移住対策も、一部の自治体が取り組んでいるという状況でしたね。しかし、2011年の東日本大震災をきっかけに、都心から過疎地域への移住を希望する若者が増え始め、流れが変わり始めました」

 そう話すのは、国内の移住や交流情報を発信する「ニッポン移住・交流ナビ」を運営する一般社団法人移住・交流推進機構(JOIN)の平野玲妃氏。一方、2014年に日本創生会議は「2040年には全国896の市区町村が『消滅可能性都市』に該当する」と発表。少子化対策と東京への一極集中対策の重要性が説かれた。

「その後『まち・ひと・しごと創生法』が施行され、各自治体は東京への一極集中を是正して、地方のやる気を引き出す戦略を策定しました。移住者の受け入れ体制の整備が進んだことも、子育て世代や若年世代の移住が増加した要因のひとつと考えられます」

 また、近年の傾向として、過疎地域が抱える課題解決のために起業を志す移住者もいるという。

「ただ、東京一極集中は継続、加速傾向にあり、依然として移住のハードルは高い状況です。今後、地方自治体では、すぐに移住をしたい人だけでなく、将来的に地方に移住したいと考えている『関係人口』の創出、拡大に力を入れていくようです」

 その施策のひとつともいえるのが“お試し移住”だ。お試し移住では、数日間過ごせる宿泊施設を安価に貸し出してもらえたり、地方の企業で就業体験ができたりと、さまざまな方法で“お試し”ができるという。