本書の要点

(1)パッケージビジネスは衰退している。時代は人と人との結びつきを重視する方向に移行しており、そこでは「共体験」がキーワードになる。
(2)「流行すること」は簡単だが、その維持は難しい。コミュニティを発展させることを前提にアップデートし続け、ユーザーの関心を引き続ける2.5次元のライブコンテンツが求められる。
(3)日本の経済を次にけん引するのは文化産業だ。ライブコンテンツメーカーとして確立したビジネスモデルを、他産業にも生かしていかなければならない。

要約本文

【必読ポイント!】
◆パッケージメディアの衰退とライブコンテンツの台頭
◇人と人との結びつきを重視する時代

 日本のコンテンツ産業は1995年を境に失墜した。CDが売れなくなった音楽業界をはじめ、ラジオ・新聞・出版業界は衰退の一途をたどっている。マンガ・ゲーム業界ですら国内だと衰退傾向にある。例外的にテレビ業界は成長してはいないものの、大きく衰退もしていない。とはいえほぼすべてのコンテンツ産業で、ビジネス基盤の再構築が求められているのは間違いない。出版・映画・テレビといったマスメディアがトレンドを創り出す時代は終わったのだ。

 このようにコンテンツをモノとして売るパッケージが減少する一方で、映画やコンサートのようなロケーションビジネスは微増している。その背景には、人と人との結びつきを重視する「コミュニティ機能」の再評価がある。「共体験すること」の価値が見直されており、とりわけアニメを取り入れたビジネスの成長は目覚ましい。「作り上げたものを配布し、視聴してもらう」という一方向モデルではなく、「ユーザーコミュニティの形成を前提に、コンテンツを生きたものとしてアップデートし続ける」という双方向モデルへとビジネスチェンジできた産業が、2010年代に入ってからの成長産業になっている。

◇コンテンツの「ライブ性」の維持

 2010年代に入ってから、新たなビジネスモデルが登場した。アニメ作品など、量産しにくい2次元の高価で作品性の高いものを経済圏の基盤としつつ、3次元の安価で機動性の高いメディア・ツール・タレントにのせてコミュニティを形成しながら、2次元と3次元をメディアミックスすることで、作品全体の「キャラクター経済圏」を形成するというモデルだ。この変化をいち早く取り入れたのがゲーム業界であり、音楽業界である。一方で放送・新聞・出版などのマスメディアは、いまだ旧時代のパッケージ中心のビジネスモデルから脱却できていない。