◇ロイヤリティの高い「オタク」が市場を支える

 オタクが好む趣味嗜好は、本質的には「サブ」カルチャーだ。しかし年間消費額において、衣食住の占める割合は右肩下がりになっている。収入が増えるにつれて増えるのは趣味・文化的活動の出費だ。人は趣味嗜好を通じて自分の感情の動きを体験し、社会のなかで人間らしさを確認するからである。

 メインカルチャーの3次元コンテンツメーカーは、サブカルチャーの2次元コンテンツメーカーの動きに気づけていない。「ラブライブ!」や「アイドルマスター」などのアニメコンテンツは300万~400万人ものユーザーを集め、年間300億~400億円の大規模なキャラクター経済圏を築いている。人数は少ないが、経済圏の規模で言えば「名探偵コナン」「アナと雪の女王」などの国民的アニメをはるかにしのぐ。

 こうした知名度と経済規模の差は、派生市場の差によって生まれる。アニメコンテンツは派生消費が多い。人々は映画を見たあと、サントラCDを聞いたり、グッズを買ったり、書籍で後日談・前日談を読んだりする。これは物語の体験がその瞬間だけでは消化しきれず、追加でより深く味わいたいからである。

 従来は「2」など続編を制作して、シリーズ化するのが一般的だった。しかし映像作成には時間がかかりすぎる。情報過多の現代において、完成までユーザーの関心を保つのは難しい。それゆえのライブコンテンツ化である。オタクは消費額として、一般ユーザーの平均2倍の金額を使う。ブランドへのロイヤリティも高く、継続的に消費するため、生涯単価として一般客の3倍を見込めるという実績値が出ている。

 2次元と3次元の間を行き来するライブコンテンツ化とともに、ニッチがマスに取って代わるようになった。ライブコンテンツ化により派生市場を広くとることによって、2次元の作品は2.5次元へと進化し、天井のない新しいブルーオーシャン市場を開いている。

◆日本経済復活への道を握るマンガ・アニメ・ゲーム
◇日本のクリエイティブ産業の特異性

 日本のコンテンツ制作は工芸的なエッセンスを持っている。2次元セルアニメで加工するアニメや週刊25ページを1人で連載するマンガ家、50~100人ものチームをひとりで見るゲームプロデューサーなど、日本のクリエイティブ産業は情熱のみをモチベーションに過酷な環境を耐え抜く、前近代的なモノづくりに支えられてきた。また日本にはアニメ制作会社が622社あり、その65%は30人未満の中小企業だ。こうした同業者の集まりが競争を生み、新技法や改良などの情報の流れも活発だ。だからこそ世界を圧倒するクオリティの作品を生み出せている。