教育費地獄写真はイメージです Photo:PIXTA

「教育にはお金がかかる」。そう言って子育てを不安がるご夫婦がいらっしゃいます。反対に、子どもの教育にお金をかけ過ぎてしまい、自分たちの生活を維持できなくなってしまうご夫婦もいます。

 教育費はいわゆる「聖域」です。教育方針、親の考え方などにより、お金をいくらでもかけられますし、かけすぎずに済ますこともできます。ですが、方針や考え方を優先しすぎると、うまくお金をやりくりできなくなります。教育費は、家計の状況と突き合わせて、計画的に使い方を考えないと、夫婦の老後に大きく響いてしまうものなのです。

 そうした事実には、バリバリ働いているご夫婦ほど気がつきにくく、老後が近づいてきた頃にようやく気づいて慌てるケースが少なくありません。先日相談に来たKさんご夫婦も、まさに50代に突入してからこうした事実に気づき、老後不安に陥っていました。

子どもはまだ小学1年生の50代夫婦
私立小に入れたが、貯金はたったの…

 Kさん(54)は会社員。パートの妻(51)と、息子(小1)の3人暮らしです。月の世帯収入は手取りで38万円ほど。資産は貯金のみで、約800万円です。最近届いた「ねんきん定期便」を見て、小学1年生の子どもの教育費をこれからも払いながら老後に備えていけるのか心配になり、ご相談に来られました。

 お子さんは遅くにできたこともあり、できるだけ大切に育てたいと考えています。ですから学校は公立校ではなく、大学までエスカレーター式で進学できる私立小学校に通わせています。Kさんご自身が高校までエスカレーター式の学校に通い、環境が良かったと感じていたからです。

 学費は毎月7万円ほど。就学前は保育園に通わせており、塾にかかる費用も含めて、当時から毎月7万円ほどかかっていました。小学校に上がっても金額があまり変わらないため、毎月の学費が高い私立小学校でも何とかやっていけるだろうと判断したそうです。

 それでは貯金が十分にできないこともわかっていましたが、節約していけば何とかできるだろうと、お金よりも子どもの教育環境を重視したといいます。

 ですが小学校に通い始めてすぐ、教育費の見通しが甘く、今のままでは定年までに貯金を増やせないことが分かりました。毎月納める授業料のほか、臨時で学校に支払う教材費もあります。小学校にかかる費用が想像以上に大きいとようやく実感したのです。

 息子が小学校に上がるまでは毎月3万円ほど貯金ができていましたが、現在、毎月の収支はトントン。赤字になる月もあります。妻が仕事を増やし収入をアップさせることも考えましたが、学校へ出向かなくてはいけないことも多く、思うようにいきません。

 Kさんは年間で手取り80万円ほどのボーナスを受け取っています。以前は毎月の貯金に加え、このボーナスの半分以上を貯金に回せていました。ですが、今では月々の赤字をボーナスから補填。必要な支出を賄うと、いくらも貯金に回せないのです。