部下から「正論」が返ってきたら?

「『8回』という回数だけを稼ごうと思ったら、いくらでも稼げます。でもそれは、会社のルールを守るためだけの行動でしかない。私はより効率のよい営業を目指しているのです」

「私は新商品の提案だけではなく、納入しているすべての商品で何が売れていて何が売れていないのかをチェックし、既存商品の入れ替えも同時に行っています。新たな提案をして相手から『よし、そのお話に乗りましょう』という返事をいただいたとき、『じゃあ来週持ってきます』という話をすれば、訪店回数は1回多くなります」

「しかし1週分、その商品を売る機会を損失することになります。だから私はあらかじめ、相手からいい返事をいただいたときのために、提案する商品の在庫を持って営業に伺い、すぐに補充できる準備を整えているのです」

「言わせていただければ、私は訪問2回分、3回分の仕事を1回で行っているのです。営業の質は、訪問10回分くらいのものを保てていると自負しています」
 
 部下の側からも、「事実」をもとに「訪店は月4回にとどまっているが、こちらにも理がある」という説明があったのです。

 上司はこの言い分に納得。この部下については「月4回」という訪問回数を認めることにしました。「事実」をベースにすり合わせれば、相手を真っ向から否定せずにすみますし、対応も柔軟にできるのです。