伝書鳩になってはいけない
上司の役割は、経営陣から下りてきた目標を部下に伝えるだけの伝書鳩ではありません。「8回」という目標をただ吠えているだけでは、自分の頭で考えて、より効率的に相手のニーズに応えようとする優秀な部下を潰すことになります。
上司はまず、「8回」という目標の裏にある経営陣の意図を知る必要があります。「なぜ8回なのか」を確認するのです。そうでなければ、部下の側から「4回でもいいじゃないですか」と言われたときに、対等に議論ができません。
同時に部下に対しても、「8回なんて無理ですよ」で終わらせるのではなく、「なぜ8回が無理なのか」を「事実ベース」で説明させる必要があります。部下の側にも説明責任があるのです。
ここまで議論を固めておけば、たとえ他の社員から「あいつだけ月4回の訪問でOKなんてずるい」という声があがったときにも、ごまかさずに対応できます。
「あいつは月4回の訪問だが、1回あたりの訪問時間は他のみんなの3~4倍。その時間でこれだけの質の営業をしている。このやり方を選びたい人は選びなさい」と、部下の働き方に幅を持たせることができるのです。部下は自分の選んだ働き方で、納得して働くことができます。
仕事の自由度を高められる
「事実ベース」ですり合わせるというと、堅苦しさを感じる人もいるかもしれません。ですが、先ほどの例のように仕事の自由度を高めることができます。
一度すり合わせておけば、次期以降、この部下については「月4回の訪問」をベースに目標を設定できます。毎期「目標は月8回だ」「いや、私は月4回で結果を出している。月4回でOKにしてくれ」という同じやりとりをしなくてすみ、その時間を生産的な活動に使うことができます。