JR東海が先月下旬に発表した、リニア中央新幹線の改良型試験車両。2027年の開業に向けて、今も技術開発による性能向上に向けた努力が続いている。新型コロナウイルスの影響も心配されるが、財務体質が強固なJR東海は粛々と開業に向けてのロードマップをこなしていくだろう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

リニアに改良型車両が登場
その特徴は?

リニア中央新幹線の改良型試験車両
3月25日に報道公開されたリニア中央新幹線の改良型試験車両。2027年の開業に向けて、技術のブラッシュアップは今後も進んでいく Photo:JIJI

 JR東海は3月25日、リニア中央新幹線の改良型試験車両を報道公開した。この車両は山梨県のリニア実験線で走行試験を行うために製造された車両で、1997年に登場した「MLX01」型から数えて、4代目の車両になる。

 ただし、JR東海としては2013年から試験走行を行っている「L0系」を営業線仕様の第1世代としており、今回の車両は「L0系」をさらにブラッシュアップした改良型という位置づけである。

 全長は約24m(中間車)、全幅は約2.9m、東海道新幹線「N700系」車両の全長25m(中間車)、全幅3.4mと比較すると、車体はひと回り小さい。東海道新幹線の普通車は1列5席で定員1322人(16両編成)だが、リニア中央新幹線は1列4席で定員約1000人(16両編成)となる予定だ。
 
 今回の改良型試験車両の最大の特徴は誘導集電方式の全面採用だ。これはスマートフォンのワイヤレス充電などにも用いられる技術で、線路上のコイルと車体のコイルの電磁誘導作用を利用して、非接触で電力を供給することができる。

 これまでの「L0系」は、車内に超電導磁石などに用いるための発電用ガスタービンエンジンを搭載していたが、発電用の燃料を搭載し、騒音や排煙を伴う発電機の存在は、リニアの課題のひとつに挙げられていた。今回の改良でガスタービンエンジンがなくなったため、先頭形状を最適化し、空気抵抗を13%削減することにも成功。消費電力や風切り音など車外騒音の低減が実現している。

 山梨リニア実験線では2013年以降、1日平均約2000kmの走行試験を行っており、これは東海道新幹線の1編成あたりの1日平均走行距離1600kmを超える。実験線が完成した1997年以降の累計走行距離は地球約77周分にあたる310万kmだ。

 超電導リニアの技術開発について、国土交通省の実用技術評価委員会は2009年に「営業運転に支障のない技術レベルに到達した」と判断。2017年には「営業線に必要となる技術開発は完了した」と評価しており、今後は2022年頃に向けて、営業用車両の詳細な仕様の検討が行われることになっている。