大東亜戦争における日本軍の「六つの作戦」(ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦)を分析した『失敗の本質』では、組織の敗因と失敗の原因について精緻な解説を読むことができます。

 刻々と変化する敵情、戦場の推移、大規模な機械化部隊の高速展開、新兵器の登場、さらに武器を運用する思想の進化。

 生死が隣り合わせの極限状態である戦場では、いくつもの「想定外の変化」を乗り越えてゴールに到達する能力が、何より求められていたのではないでしょうか。

 それらを乗り越えられない組織は、やがて消滅する運命を迎えます。

 本書は現代の日本人のために、『失敗の本質』が描く組織論のエッセンスを23のポイントに絞ってわかりやすく抽出していきます。

「想定外の変化」に対応する組織だけが生き残る

 なぜ、今新たに『失敗の本質』から学ぶのか?

 それは、想定外の連続する新たな時代を、あなたの組織が強く生き抜くためです。

 日本は現在、「想定外」という言葉を何度使うべきか迷うほどの危機的な状態です。製造業を圧迫する超円高、高齢化社会、経済大国であった時代の終焉、出口の見えない長期不況。ひとことで言えば、これまでのやり方が通用しなくなっています。

 大東亜戦争時の日本軍は初期の快進撃から一転、守勢に立ったのちは「これまでの戦闘方法が通用しない」状態に大混乱し、突破口を見つけることができずに敗戦を迎えました。

 日本製品が世界を席巻した1980年までの成長神話の崩壊から、新しい時代への展開を必死で模索する現代日本は、名著『失敗の本質』が警鐘を鳴らした日本軍と同じ弱点を露呈しているかのようです。

 ただ、『失敗の本質』は素晴らしい示唆を豊富に含みながらも少し難解であり、最後まで読み通した方、完全な理解ができている方は少ないかもしれません。

 本書はポイントをダイジェストでまとめ、忙しいビジネスパーソンが『失敗の本質』を仕事で役立てられることを目的としています。

 ダーウィンの進化論のように、強い組織や大きな組織ではなく、変化に対応できる組織が生き残る時代へ──。

 本書は、大東亜戦争の勝敗を決めた要因の中で、「単純な物量や技術力の差」以外の要素に目を向けていきます。なぜなら、単純な物量や技術力は現代製造業で成功した日本がすでに備えているものだからです。

 大東亜戦争においても、物量や技術力の差は敗因の一つですが、失敗の本質そのものではなく、真の要因は日本的な思考法や日本人特有の組織論、リーダーシップにあると考えられるのです。