グローバリゼーションは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行でボディーブローを食らい、ロープ際まで追い詰められた。貿易・移民の障壁が引き上げられていたところに渡航禁止、国境閉鎖、医療物資の輸出制限が加わり、貿易量は急減している。しかし新型ウイルスは必ずしも世界を分裂させるものではない。世界秩序が崩壊するか、より有益でしなやかなものになるかは、各国のリーダーがどのような教訓を得るかにかかっている。国境をまたいで発生した近年の2つの危機について考えてみよう。2001年、アフガニスタンのタリバンにかくまわれていたアルカイダのテロリストが米国を攻撃した。これに対して、当時のジョージ・W・ブッシュ大統領はテロの容疑者とその武器に対して国境管理を強化した。その一方でブッシュ氏は同盟国で連合を結成してタリバンを倒し、次々に新たな貿易協定の交渉を行った。アフリカのエイズ対策にも何十億ドルもの資金を投じた。