電機・自動車の解毒#7Photo:Mario Tama/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大でサプライチェーンが混乱し、消費も低迷する電機業界は各社影響が避けられない。その中にあっても前々期まで2期連続で営業最高益を更新したソニーは前期、そして今期も家電事業を中心に影響を受けつつも、ダメージは比較的軽微のようだ。社員の痛みを伴う大リストラでポートフォリオの大変革を断行した結果、ショックにも強くなったのだ。特集『電機・自動車の解毒』(全17回)の#07では、ソニーの“非情なる”強さを分析する。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

上方修正分はコロナで吹っ飛ぶも
力強いソニーの20年3月期通期決算

 新型コロナウイルスによる影響を受けたとはいえ、ソニーはやはり強かった。

 13日発表のソニーの2020年3月期通期決算は、売上高8兆2599億円(19年3月期比4.7%減)、営業利益8455億円(同5.5%減)、当期純利益5822億円(同36.5%減)だった。最終利益が激減した理由は、19年3月期に計上された株式売却益や連結子会社化に伴う再評価益などの特殊要因が20年3月期は少なかったためにすぎない。

 第3四半期決算発表時の会社予想(売上高8兆5000億円、営業利益8800億円、当期純利益5900億円)からはいずれの数値も下回った。それでもかねて「コロナで第3四半期決算発表時の上方修正分(売上高プラス1000億円、営業利益プラス400億円、当期純利益プラス500億円)が打ち消される可能性がある」(十時裕樹専務兼CFO〈最高財務責任者〉)とアナウンスしており、上方修正前のベースをほぼ維持する“最低限の痛手”で乗り切れた。

 そんなソニーであっても今期(21年3月期)の見通しは厳しそうだ。

 コロナの影響で合理的な算定ができないとして、ソニーは今期の業績予想を発表しなかったが、セグメント別でマイナス影響度が一番大きいのは、家電事業(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション)であることは間違いなさそうだ。サプライチェーンがいまだに混乱する一方、外出自粛や景気低迷により世界中で消費も低迷しているからだ。例えば20年の国内家電市場(コスモスベリーズMSM流通研究所の推定値)は34年ぶりに7兆円を割り込む見込み。「作れない×売れない」のダブルパンチに見舞われている。

 映画事業と音楽事業も、世界的な外出自粛の影響で公開日が延期されたり、クリエーターの活動が制限されたりしているため、一定程度のマイナス影響が避けられない。金融事業も対面営業活動停止や市場変動で少なからず影響を受けそうだ。

 それでも他のセグメントは堅調な予想だ。電機業界の他社と比べれば、21年3月期も頭一つ抜けた業績となりそうだ。ソニーの“非情なる強さ”の秘訣をひもといていこう。