ともあれ現在、各支援団体からは、「住まいを失って、福祉事務所や『東京チャレンジネット』などの窓口を訪れると大規模貧困ビジネスの施設を紹介され、難色を示すと『そこしか行くところはない』と言われた」といった当事者の声が、数多く発信されている。

 女性の場合は、売春防止法に基づく婦人保護施設というバリエーションもある。婦人保護施設は、現在はDV被害者の保護にも用いられているものの、基本的に「二度と売春をしないように更生させる」という方針に基づいて運用されてきた施設である。厳しい管理が行われ、スマホの使用すらできない施設も多い。

「弱り目に祟り目」のような扱いをされた新型コロナ禍の被災者たちの小さな声、そして支援団体の粘り強い活動が、少しずつ現実を変えた。東京都の借り上げビジネスホテル提供は、当初5月6日までの予定であったが、現在は5月31日まで延長され、宿泊に加えて3食が弁当として提供されている。利用実績も、少しずつではあるが増えている。

最も気になる“おカネ“の話
費用はどこが負担する?

 現在、東京都の借り上げビジネスホテルは、ネットカフェ難民に代表される住居喪失と不安定就労が重なる人々を対象とした「東京チャレンジネット」の窓口に相談した人々と、都下の各自治体の福祉事務所で生活保護や生活困窮者自立支援制度の利用を相談した人々を対象として提供されている。

「東京都と各自治体の福祉事務所」という意味では、窓口が2つある。福祉事務所の生活保護と生活困窮者自立支援制度を別にカウントすると、合計で3つの窓口があることになる。各自治体が「ウチの福祉事務所に相談に来た方に、とりあえずビジネスホテルに泊まっていただくことはできたけれども、この費用はどこから出るのだろうか?」と心配する必要は、一応はない。というのは、東京都の事業であるからだ。