通常と違う「コロナ大不況」
需要喚起策は使えない
国際通貨基金(IMF)が4月に公表した見通しによれば、2020年の世界経済の成長率は-3%となる予想だ。
リーマンショックの影響が強く出た2009年(-0.1%)よりはるかに厳しく、大恐慌以来の経済収縮になる。しかも、今年後半に新型コロナウイルスの感染が収束に向かわない場合は、成長率はさらに3%の下押しが予想されるという。
今回の不況が通常の不況と異なるのは、需要喚起策が使えないことだ。
感染拡大を抑えるには、経済活動を制限せざるをえない。多くの国で感染拡大がピークを超え、経済活動の制限を緩める試みも始まっているが、治療薬やワクチンが行きわたるまでは、経済の完全な回復は難しい。その期間は1年では済まない、というのが常識になりつつある。
こういう性格のショックに対して金融財政政策が果たせる役割は、企業の資金繰り、雇用や所得への支援を通じて、経済へのダメージをなるべく小さくすることに尽きる。