相模鉄道(相鉄)が「大手民鉄」の仲間入りをしてから、今年5月31日で30年の節目を迎えた。そもそも「大手民鉄」か否かは誰がどう決めるのか。そして、連結売上高で相鉄とほぼ同規模の大阪メトロが大手民鉄になれない理由はなぜなのか。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
わかりづらい
大手民鉄の基準
横浜を拠点とする相鉄は、首都圏の大手民鉄の中では「地味」な位置づけにあったが、2019年11月にJRとの相互直通運転を開始。2022年度下期には現在建設中の相鉄新横浜線・東急新横浜線を介して、東急線との相互直通運転を開始する予定で、営業エリアを大きく広げつつある。
これにより、2018年度に35.9kmだった旅客営業路線総延長は、2019年度末には38km、2022年度末には42.2kmまで伸びる見込みだ。大手民鉄の中で2番目に路線が短い阪神電鉄の48.9kmには及ばないまでも、大手民鉄としてふさわしい体格になりつつある。
ところで、大手民鉄とはいったいどのような区分なのだろうか。
報道などでは大手私鉄という用語も使われることが多いが、正式には「大手民鉄」という言葉が使われている。
民鉄とは民営鉄道のことをさすが、既に完全民営化したJR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州はこの区分には含まれず、統計上ではJRグループとしてまとめられている。
また、営団地下鉄が民営化して誕生した東京メトロは大手民鉄の一角だが、大阪市交通局が民営化して誕生した大阪メトロは大手民鉄には含まれないなど、業界の外から見れば、不思議な区分になっている。