(1)より社会的権威が高い人の案を選択する
2大権威とはいっても、多少の権威のレベル差はあるだろうから、「より権威が高い」と思われる人の案を選択する。または「最近優勢なほうを選択する」という方法もある。やっぱり地方国立大の教授よりは東大教授のほうが権威はありそうだとか、在野のプロより、政府の委員会の委員長だからそちらのほうがよいだろうとか、まあそんな程度である。
そんなバカな、と笑う人もいるだろうが、決める人に主体性や当事者意識がなく、周囲も事なかれ主義の会社では、ごく一般的に使われる方法である。下記の「(6)失敗しても批判を受けることが少ないほうを選ぶ」にも類似している。
(2)目の輝きで選ぶ
2人の話しぶりや目の輝き(あるいは最近なら「目力」と言うのかもしれないが)を振り返り、中身は吟味せず(どうせわからない)、より自信を持っていそうな人の案を選ぶ。人は自信過剰なくらい、自説を信じている人を専門的能力が高いと認識する傾向がある、という研究成果がある*。たしかに実感とも一致する。そこまで自説に自信があるのなら、それに乗ってみようというのである。
*下記の研究によると、株価の予測をする2タイプの金融アドバイザーの助言を被験者に選ばせる実験で、自信過剰なタイプと、そこまで自信がありそうにはないタイプでは、より多くの人が自信過剰なアドバイザーの助言を選び、また、自信過剰なアドバイザーのことを知識が豊富だと考えたという結果が出ている。
Intuitive Evaluation of Likelihood Judgment Producers:Evidence for a Confidence Heuristic
一方で、私の知る老練な有名経営者は、上記の研究の成果を経験的に知っていて、だからこそ、自信満々な人の提案は排除し、謙虚な方を優先すると言っていた。「自信満々な人は失敗をしたことが少ないか、失敗を失敗と認めてこなかった人だ。そういう人は信用しづらい」のだそうだ。
(3)賢い部下たちに聞き、優勢なほうに決める
自分だけでは決められないので、賢そうな部下に内容を吟味してもらい、優勢なほうに決めるという方法である。
一般的にきわめてよく行われる方法だが、2つの大権威が拮抗しているような研究領域の内容に対して、少しばかり賢い人が集まって検討したくらいで、さしたる成果は得られない。当社の状況を鑑みると、どちらかのほうがより当てはまる、といったくらいの結論になるであろう。そのくらいのことであれば、自分でも十分考えられるはずだ。