役員になれる管理職となれない管理職の違いはどこにあるのか。そして、何が昇進の決め手であり、どういう人が役員になっていたのか。プルデンシャル生命で、支社長として全国最下位の支社を全国2位に育て上げるなど、管理職として一流の手腕を発揮し、その後、プルデンシャルグループのジブラルタ生命保険の専務執行役員、AIGエジソン生命の代表取締役副社長を歴任した実績を持つ八木昌実氏に、役員になれる管理職の資質について聞いた。
役員になる管理職は、
数学よりも国語が得意な人が多い?
ひとくちに管理職といっても、課長クラスから役員までさまざまな階層があります。また、人には向き不向きもあり、管理職や役員ではなく、たとえば営業のプロとして、非管理職としての働き方を極めるほうが向いている人もいます。そのうえで、管理職から役員になれる人、あるいはなれない人はなにが違うのかについてお話ししてみたいと思います。
私が在籍していたプルデンシャル生命では、どのように管理職になる人を決めていたかというと、まずは業績で見ていました。契約数、これが第一条件です。それからいくつかの試験をしていました。
私は、部下たちの管理職昇格の際に行われるそれらの試験のデータと、その後のキャリアをつぶさに研究したことがあります。そして、そのデータを私が見る限りでは、すぐれた管理職、とくに役員になる人にはある傾向が見られることに気づきました。
優れた管理職の典型的なタイプは、論理的思考力(数学)と概念的理解力(国語)のうち、両方ともが平均以上で、かつ概念的理解力(国語)のほうが勝っているというものです。雑駁な言い方をすれば、数学は人並みくらいにできて、それ以上に国語がよくできるという人ということになります。もちろんプルデンシャルは保険販売業ですから、数字に疎いようでは務まりません。平均以上の数学力、論理的思考力は必要です。
しかし、論理的思考力(数学)だけが飛び抜けていて、概念的理解力(国語)の数値が極端に低い人はあまり管理職には向いていないような印象がありました。つまり数学だけがよくできて、国語が弱い人は、論理的に持論を展開するのですが、人に理解させるための言葉を持っていないため、聞いている人には、その人の論理が「点」と「点」としてしか伝わらず、何が言いたいのか理解してもらえないのです。