生活の知識を問う大学付属校 論理的思考力を試す難関進学校

 ただこれまでもお話ししたように、付属校と進学校の間では、出題傾向は特に大きく異なります。誤解を恐れずに言うなら、「付属校:基本問題の出題。問題は易しめ」「進学校:応用問題の出題。問題は難しめ」となります。

 付属校では、基本問題を重視する傾向があり、広い視野が必要な広範囲にわたった問題の構成となっています。たとえば、慶應では過去に中学入試のテキストには出てこない、テーブルマナーに関する問題や、お正月の習慣に関する出題などがありました。他の大学付属校でも生活関連の問題は頻出です。これは進学校では考えられないことです。受験勉強の知識に限らず、幅広い教養や関心を持っている生徒を求めているからこその出題です。「生活の知識」が問われるのです。

 一方、難関進学校では6年後の大学受験に耐えうる学力を受験生が備えているかどうかを見極め、難関大学に合格できる素地のある子を求めています。そのため、「論理的思考力」を試す問題が多いのです。

 お話ししてきたように、付属校と進学校の入試問題がこのように大きく違っているのは、求める人材が違うからです。大学卒業まで10年間をかけて育てる人材と、6年後の大学入試に対応できる人材は異なります。長く走ってくれるマラソン型の人材、瞬発力が必要な短距離型の人材というわけです。

 ですから、お子さんが早慶を含めた付属校に入りたいという意思を持っているなら、付属校の問題の練習を重ねる必要があるのです。