われわれはなぜ
コロナを恐れるのか
それでは、新型コロナウイルスを災害たらしめている本質とは何でしょうか?
それは「怖さ」です。コロナに対して「怖い」「恐ろしい」と一般の人も医療従事者も口々に言っています。この人々に「怖い」という感情を引き起こしているが故に、新型コロナウイルスは災害になっているのです。
では、その怖さはどういった条件からもたらされているのでしょうか?
私が定式化した「恐れの公式」というものがあります。
これはF=f(h, up, uc)と数式で表現することができます。平たく言えば、<恐れは実害と予測不可能性と制御不可能性の関数で表せる>ということになります。
よりわかりやすく書けば、<恐れ=実害×予測不可能性×制御不可能性>となります。
実害のところは、感染した人が重篤化し、死に至ることを指しています。そうした人が全くいなければ誰も恐れたりはしないでしょう。
予測不可能性は、文字通り予測ができないということです。未知のウイルスは、どういう感染経路で感染するのか、どういうタイプの人が特に危険なのか、どういう条件に強く、どういう環境に弱いのかといったことがわかりません。
特にこの新型コロナウイルスは、無症状の感染者からも感染する点に大きな特性があります。
つまり、新型コロナウイルスは、自分がかかっているかどうか自覚できないのです。人にうつすかどうかわからない。予測ができないのです。ある人は無症状で、症状らしい症状もなく終わったとしても、ある人はあっという間に重篤化して10日ほどで亡くなってしまう……というロシアンルーレットのような恐ろしさがあります。
そして現在、アビガンやレムデシビルといった治療薬の研究が進められていますが、確たる特効薬とまではいえず、またワクチンの開発にも最低でも1年ほどはかかるといわれています。これは何を意味するかといえば、症状をコントロールするすべがないということです。つまり「制御不可能性」という怖さをもたらす条件を満たしているのです。