フェイスブック、ツイッターといった、いわゆる「ソーシャルネットワーク」が日々の生活にかかせないもの、あえて言えば"必須のインフラ"となったことで「ビジネス」の変化が急激に進んでいる。
電力インフラの整備が、モータリゼーションの加速が、パーソナルコンピューターの普及が、かつてビジネスの変化を決定づけたように、いま現在、「ソーシャル」はビジネスにどのような変化をもたらそうとしているのか?
連載第1回目の今回は、実際にソーシャルを使ったビジネスで急激に成長するサービスを紹介しながら、その変化の兆しを探っていく。

ソーシャルを"てこ"とした2010年代のビジネス破壊(ディスラプト)

 ビジネスの世界では今も昔も、新しいモデルが既存のモデルを破壊(ディスラプト)する、ということが行われている。

 わかりやすい例をあげると、電子メールの出現によって、既存のファクスはディスラプトされ、検索サービスの世界では、"キーワード検索"や"独自のランクシステム"を軸としたグーグルの出現によって、ヤフーやアルタビスタといった先行者はディスラプトされてしまった。

 さらに言うと、今もディスラプトは続いていて、ディスラプトする側だったグーグルも、インターネット上のアクセスを獲得する方法として、ソーシャルネットワークの導入に、うまく対応できず、フェイスブックの登場によってディスラプトにさらされているといってもいい。

 ニールセンの調査によれば、2012年6月の各SNSの訪問者数(PCからのみ)は、フェイスブック1608万人、ツイッター1347万人、ミクシィ646万人、そしてグーグルプラスが485万人だ。いまや多くの人がフェイスブックのアカウントをもち、Gメールやグーグルトークではなく、フェイスブックのメッセージでやりとりをしているのが現状だ。

 一世を風靡したGメールやグーグルトークも、実利用者数の上で徐々にフェイスブックメッセージに取って代わられる。少なくとも、筆者の周りではビジネス上のやりとりも含めて、そのような形になりつつある。

 2000年代後半から2010年代初頭にかけてのビジネスモデルの破壊(ディスラプト)の多くは、既存のサービスに"ソーシャルネットワーク"を構築することで行われている。

 ここでは、そういったソーシャルを取り込んだ、新しい「破壊的ビジネスモデル」の出現を"ソーシャルディスラプト"というキーワードでまとめ、具体的なスタートアップ企業を取り上げながら、「なぜ破壊的なのか?」を次ページから解説していく。