山本太郎氏と立花孝志氏が
もたらす想定外のインパクト

 その未来予測の話をする前に、まず2人の候補について簡単に解説してみます。

 山本太郎候補は、政党要件を満たした国政政党である「れいわ新選組(以下、れいわ)」党首です。元俳優の経歴を持ち、2012年に政治家に転身し、2013年に無所属から参議院議員に当選。2019年の参議院議員選挙ではれいわを設立し、比例区最多の99万票の個人票を獲得することで、れいわが政党要件を満たす原動力となる一方で、自身は名簿順位の関係で現職でありながら落選しました。その政治演説は、常に大きな盛り上がりを見せることに特徴があります。

 立花孝志候補は元NHK局員で、2013年に「NHKから国民を守る党(以下、N国党)」を設立し、やはり2019年の参議院議員選挙で自身が比例区で当選するとともに、N国党も政党要件を満たしました。その後、参議院の埼玉県の補欠選挙に出馬したことで失職します。そして今回はN国党ではなく、新たにホリエモン新党を設立して代表となり、都知事選に立候補します。

 細部で興味深い点は、ホリエモン新党は堀江貴文氏と公式には関係ないとされる点です。堀江氏はツイッターで「ええと、俺は特にメリットないですね笑。俺何も知らんので絡まれても困る」と投稿している一方で、なぜか堀江氏のマネジャーの斉藤健一郎候補が立花孝志候補とともに都知事選に出馬して、ポスターには堀江貴文氏の写真を使っている。公式には関係ないけれど、においがプンプンするという過去にないタイプの政党です。

 さて、この2人の候補の結果になぜ注目すべきなのか、解説を始めたいと思います。

 実は、2012年に自民党が民主党からの政権交代を実現し、連立与党に返り咲いて以降、日本では既存野党に対する批判が強すぎるのです。「与党は嫌いだが野党は頼りにできない」と考える国民が多いのが、アメリカなどと比較した日本の世論の特徴です。そのせいで、第三極の政党に対する期待が徐々に高まり始めています。

 その旗色がはっきりし始めたのが、2019年7月の参議院議員選挙で、れいわとN国党というそれまで諸派扱いだった2つの政党が、政党要件である2%の得票率を満たし、もはや泡沫候補ではない第三極として、注目を集める存在となったのです。