経済産業省が7月3日、老朽化した石炭火力発電所を2030年度までに段階的に休廃止させる方針を打ち出した。第5次エネルギー基本計画に沿った既定路線にすぎないのに、梶山弘志経産相がなぜ今、これを強調したのか。その裏事情に迫った。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)
J-POWER、北海道電力、四国電力
「石炭火力」銘柄の株価相次ぎ下落
梶山弘志経済産業相が「非効率な石炭火力発電についてはフェードアウトしていく」と発言した7月3日、株式市場は「石炭火力」銘柄に反応した。
梶山氏に名指しされた「非効率」な石炭火力発電所6基を保有するJ-POWERの株価は、2日の終値1915円から3日の終値は1819円に下がった。J社と同様に北海道電力は1.74%、四国電力は1.54%、それぞれ株価が下落した。
実のところ、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い石炭火力発電については、18年に策定された「第5次エネルギー基本計画」で、老朽化した石炭火力発電所を休廃止し、より効率の良い石炭火力を推進する方針を明記している。
梶山氏の発言は、大きな路線変更をうたったわけでもなく、「具体的な仕組み作りを検討する」(梶山氏)と、これまでの方針に対して少し踏み込んだだけに過ぎない。
ではなぜ今、経産省は非効率な石炭火力発電所を休廃止する方針を改めて強調したのか。