ITの進展で増える一方のさまざまなデータをどう理解し、どう利用するかは大きな課題となっているが、地図上にデータを落として可視化してみることで、数値や文字ではわからない現実が見えてくることがある。位置・空間情報を持った情報をひも付けて解析するGIS(地理情報システム)大手のパスコに、その可能性を聞いた。

阪神・淡路大震災が契機で
注目を集めるようになったGIS

 航空測量事業者として1953年に創業したパスコは、現在、GISのリーディングカンパニーとして、国内外にサービスを提供している。

「創業から40年ほどはアナログの地図をつくってきましたが、20年ほど前からデジタルにシフトしています。GISの日本での普及は、1995年の阪神・淡路大震災がきっかけです。紙の地図が全滅した自治体もあり、土地やインフラ管理の地図はデジタル化が有効だという認識が広まりました」と、高山俊・取締役事業推進本部長は説明する。

 そのため、防災やインフラ・施設管理はGISの重要な用途の一つとなっている。パスコでは、官庁・自治体の防災支援に加え、民間向けには、潜在リスク評価から異常気象時の災害予測、被災状況把握や事業継続までをサポートする災害リスク情報サービスを提供している。

 地図自体のデジタル化に加え、それに組み合わせるデータも、近年は各種統計や調査結果など、多くの情報が利用可能になり、GISの可能性は大きく広がってきている。

 

図表1 GISでの地理情報の重ね合わせ 災害リスク情報サービス「DR-Info®」における情報の重ね合わせイメージ。多くの情報を地図上に重ね合わせて可視化・分析できるのがGISの最大のメリットだ。
*「DR-Info」はパスコの登録商標です。