東京や首都圏の感染者が高止まりし、緊急事態宣言の再発令が、現実味を帯び始めている。再び発令されれば、あらゆる業界に、多大な影響と経済的な損失をもたらすことは言うまでもない。中でも外食産業を含めサービス業への影響は甚大であり、まさに「死活問題」である。中国在住20年、上海で外食産業のコンサルタントをしている筆者が、外食産業を切り口に、ここまで新型コロナウイルの感染拡大を、比較的うまく抑え込んでいる上海の現状を踏まえ、日本の抱える課題について考察してみたいと思う。(ゼロイチ・フード・ラボCEO 藤岡久士)
コロナを封じ込めた上海の飲食店も
客足は完全には戻っていない
今年の2~3月は、体温チェックや移動制限、接触者の記録はもちろん、エアロゾル感染を恐れ、ビルのセントラル空調の使用まで制限していた上海だが、既に平常を取り戻している。
新規感染者は、海外からの帰国者を除くと、3カ月以上出ていない。これに関し、「中国は無症状感染者をカウントしていないから、まやかしだ」と、冷ややかに見る人もいるだろう。
しかし、筆者が現地で生活している限り、感染を抑えられていることは事実であり、そこに隠蔽(いんぺい)の形跡はない。
現在、規制は緩和され、街中でマスク未着用の人も見かけるような状況である。