気候変動に警鐘を鳴らす活動家たちからは耳にしないだろうが、世界の人口動態に関する重要な研究によって、将来の温暖化ガス排出に朗報がもたらされている。人口統計学者はしばらく前から将来の人口成長の予測値を縮小し始めているが、その度合いは十分ではないかもしれない。医学誌ランセットに掲載された米ワシントン大学の新たな研究論文は、従来の人口統計が世界中の医療や女性教育の継続的かつ将来的な向上を加味していないと主張している。出生率の低下は、都市化に加え、識字率や避妊に関する情報へのアクセスの向上と相関性がある。女性が生殖生活をよりコントロールできるようになるためだ。こうした要因の影響を見据え、同論文では1世紀で驚くような変化が起こると予測している。(国連の世界人口推計2019年版によると)世界の人口は2100年までに94億~127億人に達すると予測されているが、同論文では2064年に97億人でピークに達し、2100年には88億人に減少すると予測している。さらに、国連の教育と避妊具の使用に関する持続可能な開発目標(SDG)が全面的に達成されれば、2100年には62億9000万人にまで減少する可能性もあるとしている。これは国連の現行予測の下限を33%、現在の地球人口を約15億人それぞれ下回る水準だ。