コロナは音楽を殺すのか#4Photo by Teppei Hori

特集『コロナは音楽を殺すのか?』(全11回)は、音楽業界のさまざまなステークホルダーへの取材を基に「有史以来最大規模の危機」に直面する音楽業界の現状に迫る。#04では、前回に引き続き、エイベックスの黒岩克巳代表への独占ロングインタビューの模様をお伝えする。株主総会を終えたばかりの黒岩氏に、コロナ禍の影響やアーティストの状況をはじめ、松浦勝人氏のCEO退任の影響、新たなプラットフォーム事業の可能性、コロナ禍以降の音楽業界やエイベックスのビジネスモデルなど、多岐にわたって熱く語ってもらった。(ダイヤモンド編集部編集委員 長谷川幸光)

ライブを行うほど
赤字となる危険性

――エイベックスの成長をけん引してきたライブ事業ですが(本特集#03『エイベックス社長が語る、競争激化の音楽ストリーミング配信「次の一手」』参照)、新型コロナウイルス感染拡大の影響はやはり深刻でしょうか?

黒岩克巳氏(1)エイベックス代表取締役社長CEO/エイベックス・エンタテインメント代表取締役社長の黒岩克巳(くろいわ・かつみ)氏 Photo by T.H.

 そうですね。ライブ事業が成長していく中、このような形で打撃を食らうことはまったく想定していませんでした。 

 今年の2月26日以降、音楽業界は緊急事態宣言を待たずに自粛に入りましたが、われわれもそのときから現在に至るまで無観客以外の公演は行っていません。6月までに大小合わせて約500の公演が飛んでしまいました。

――全て中止ですか?

 中止もありますし、延期もあります。延期できるものは延期したいのですが、「じゃあいつできる」というのが正直、今は見えてこない状況です。